株式投資で資産1億円

資産1億円達成までの道のりを記録するブログです

『知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ(山口揚平)』を読んで

▼概要

 第一章 株式投資で儲けるしくみ

 第二章 「価値」ってなに?

 第三章 企業の価値を暴き出せ!

 第四章 価値の「源泉」を見抜くには?

 第五章 なぜ株価は上がるのか? 

 第六章 「感情の罠」にはまらないために

から構成されています。

第三章~第六章がメインで、第一章、第二章は前段になっています。

 

以下は第三章のまとめですが、第四章~第六章にも投資に役立つ情報が詰まっています。

 

[第三章 企業の価値を暴き出せ!]

企業の価値がわかれば、それと株価を比較して割安なものを見つけ、利益を上げられるようになる。

 

 - 企業価値算定の2つのポイント

1.企業は丸ごと評価すること

2.企業の価値は、その「企業の事業の価値」と「もっている財産」を足したもの

 

 - 企業価値算定の4つのステップ

1.「事業価値」を見積もる

2.「財産価値」を見積もる

3.負債(借金)を引く

4.発行済株式数で割って1株の価値を出す

 

1.「事業価値」を見積もる

事業価値を出すには、事業がもたらす利益である営業利益をベースにする。

 

将来の営業利益がどのように推移するかは事業を詳しく分析しないとわからないが、ここでは過去の営業利益が将来も続くと仮定する。

 

事業価値はざっくりと営業利益の10倍とおく。

事業価値 = 営業利益 × 60%(税率40%控除) ÷ 6%(期待利回り)

      = 営業利益 × 10倍

 

2.「財産価値」を見積もる

財産価値とは、会社がもっている現金や土地などの資産のことで、事業を行ううえでは直接必要がないもの。

 

企業が内部に貯め込んだ財産価値を弾き出すには、2つのものを足す必要がある。

 

1つは流動資産の中の財産部分、もう1つは固定資産の中の財産部分。

 

流動資産の中の財産部分は、流動負債を1.2倍したものを流動資産から引いたものとする。

※上場企業の流動比率(流動負債に対する流動資産の倍率)は平均1.2倍

 流動負債の1.2倍を超える部分の換金性の高い流動資産は、財産価値とみなすと考える

 

固定資産の中の財産部分は、固定資産のうち「投資その他の資産」が財産といえる。

 

財産価値 = 流動資産 - (流動負債 × 1.2) + 投資その他の資産

 

3.負債(借金)を引く

負債うち「借金(借入金、社債)」を差し引く

 

4.発行済株式数で割って1株の価値を出す

(事業価値+財産価値-負債)を発行済株式数で割れば、1株あたりの企業価値が算出される。

 

→「一株あたり企業価値」と「株価」を比較して購入を判断する。

 

 

▼心に残ったフレーズ

「現金」→「株式」→「現金」のサイクルで、最後のプロセスである再「現金」化を意識しすぎる投資家は、必ず負けます。

なぜなら、このような投資家にとって、投資の成功は「買い値よりも高く売り抜くこと」と定義されてしまうからです。彼らの投資行動は、

株式市場に常にへばりつき、

買い値よりも少し上がればすぐに売る(本当はもっと上がるかもしれないのに、すぐに売却するためリターンは小さい。ただし、本人は買い値より高く売却できたことに満足)

買い値より下がってもなかなか売れない(株価はずるずる下がる。買い値よりも安く売ることは、"負け"になるので売りづらい。下がりきったところであきらめて売るのでマイナスは大きい) 

となりがちです。これを繰り返していけば、プラスのリターンは少なくなりがち、マイナスのほうは膨らみがちですから、長い年月のあいだに負けがこんでしまうわけです。

投資とは、「買い値よりも高く売り抜くこと」ではありません。投資とは、「いまある資産(現金)をより価値ある資産(証券や現金)に交換するプロセス」です。

 

結局のところ、現金にしろ株にしろ、価値の代替物であることに変わりはありません。

私たちは、現金にほど近い「株価」を追いかけるのではなく、もっと「価値」を追いかけるべきです。

市場から離れて、投資先企業の価値の増大をじっくり眺めるだけの生活をしていたいものです。

 

 第3章のルールを学べば、株価の価値をざっくり算出することは、すぐにできるようになります。あとは、より詳細に価値を算定するために、会計・財務の知識を少しずつ増やしていけばよいでしょう。

しかし、忘れてはならないことが1つあります。それは、財務や会計から出てくる数値は、単に会社が過去に生んだ業績という「結果」にすぎないということです。

財務や会計は、結果の見方を教えるもの。当たり前ですが、結果の見方をいくら学んでも、将来の結果を予測することはできません。

 

世の中はすべて、因果関係で成り立っています。

原因があって、結果があります。

肝心なことは、結果を生む原因、つまりその会社が価値を生み出す「しくみ」を暴くことです。

このしくみを暴くことができるようになれば、結果の数字に惑わされずに本当に良い会社を見つけられるようになるでしょう。

 

企業の分析をするとき、「その会社の強みを一言でいうと...」とつぶやいてみてください。

これが一言でいえるようになれば、すばらしいでしょう。

 

高い利益率の源泉は、次の4つのパターンに大別できます。

①多くのことをうまくやる企業(高い業務効率)

②他に任せる企業(フランチャイズ、ネットワーク)

③誰もできないことをやる企業(知的財産)

④ 信頼が厚い企業(ブランド・ロイヤリティ)

 

ビジネスモデルの有望度を判断するためのポイントは、次の2点です。

・いまの成長率ではなく「成長がどのくらいの期間持続するのか」を見る 

・高い利益率を維持したまま「どこまで横展開を図ることが可能か」を見る

 

結局「日本企業の中で最適な投資先はどこか?」と尋ねられれば、私はいま、きわめて単純な答えをもっています。

それは、一言でいうと「小型割安成長株」です。

 

「成長」株であることもポイントです。

実際、割安であれば、いわゆる「資産株」でも「成長株」でもかまいませんが、私自身は資産株よりも成長株を好んでいます。

成長株は、業績の伸びとともに自然な株価上昇が期待できますが、資産株の株価が上昇するためには、人気に火がつくための"材料"が必要になるからです。

"発火"のタイミングによって利回りが変わってしまう資産株よりも、順当に株価上昇を期待できるというのが、私が成長株を好む理由です。

 

「優良」な企業が「超優良」な企業になるようなストーリーを期待するのではなく、「最低」の企業が「多少マシになる」ようなストーリーのほうが、結果的にうまくいくことが多いのです。

たとえば、テストで95点をとった生徒が次のテストで100点をとることは難しいですが、20点しかとれなかった生徒が次にがんばって50点をとれば、それだけでなんと2.5倍です。

これと同様のことが、株にも当てはまるのです。 

 

しかし、私たちの資産はそれほど大きくないため(失礼!)、回転率も重要な要素となります。

だから、短期で高く株価が上昇する"ストーリー"も投資の指針の中に入れてみてください。

きっと年間リターンが上がることでしょう。

 

結局、良い投資先の条件は次の2つしかありません。

①価値と価格の差が大きいこと

②価値と価格の差が解消されるまでの期間が短いこと

 

ですから私たちは、企業の価値に着目する冷静なバリュー投資家でありつつも、もう一方で、自ら発掘したアイドルの原石が早期に人気上昇するのを願う敏腕プロデューサーでなくてはならないのです。

ハイリターンを生み出すには、バリュー投資だけでなく、人気の出るストーリーも必要なのです。

 

「世界最強のファンドマネージャー」と呼ばれるマゼラン・ファンドのピーター・リンチは、「もっともうまくいく投資は、もっともビジネスライク(合理的)に行われるものだ」といいます。

割安に株を購入し、ワクワクしながら株価上昇を待つことも大事ですが、感情に基づいて買い・売りの意思決定をするのは、投資においては最悪の結果を招くことがあります。

投資でリターンを上げるコツは、どれだけ投資というものを、人生を楽しく生きるための単なる手段と位置づけられるか、にかかっているのかもしれません。

あなたにとって、投資とはいったいなんですか?

そしてその真の目的は?

 

▼所感

一言でいうと、ちょうど今読みたかった本でした。

気づきが満載でした。

 - PER(事業価値)だけでなく、PBR(財産価値)も合わせて評価をする

 - 投資とは、より価値のある資産に交換するプロセス

 - 財務情報は過去の結果、将来を予測するためには利益の源泉(市場の魅力度、ビジネスモデルの有望度)も見抜く必要がある

 - リターンを上げるためには、短期で高く株価が上昇するストーリーがあるかも考える

 - 投資を目的とせずに手段と捉える 

 

また、時間をおいて再度読んでみたら新たな気付きが得られそうです。

 

知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (PHP文庫)

知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (PHP文庫)